犬占い、いかがですか

毎日、「犬占い」をしている。
外出したとき、最初に会った犬が柴犬なら大吉、柴犬以外なら吉。
正直者でコツコツ働き、好き嫌いを言わずになんでも食べ、
人にはやさしくないけれど犬にはやさしい私を、神様は見ているんだと思う。
私の大吉率は、8割を超えている気がする。

数年前、この話を犬好きの仕事相手にしたことがある。
彼女はフーとため息をついて、短く言った。
「それって、柴犬以外の犬が見えてないからじゃないですか？」
あのときの口調は、頭の悪い犬に
「おとうさんのスリッパ、噛んじゃダメって言ったでしょ？」
と言うときのものによく似ていた気がするけれど、
たぶん思いすごしだろう。

自宅近くの郵便局に行った。
用事を終えて出てくると、目の前の交差点で
プリティな黒柴が信号待ちをしていた。
ベージュ系のリードは、柴犬の裏白とカラーコーディネートをしているんだろう。
かわいい上に、静かに信号待ちができるほど賢く、
おまけにファッションセンスも抜群な柴犬のおかげで、
私は幸せな一日を約束された。

郵便局に向かうとき、
白くてモコモコした何かや、茶色くてチョコチョコ動く何かが
目のすみをかすめたような気もするけれど、
たぶん思いすごしだろう。
また今日も、大吉だ。

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