冬のコートの出番が減り、桜も咲いて、いよいよ春になってきた。
でも柴飼いさんに春を告げるのは、暖かさでも桜でもない。
愛犬の抜け毛だろう。
換毛期の柴犬ほど、家族を困らせるものはない。
故・愛犬Jは、毎日のブラッシングでレジ袋1~2個分ほどの毛を排出していた。
すれ違っただけでも抜け毛がつくほど、それはみごとな抜けっぷりだった。
当時は「ファーミネーター」などなかったし、スリッカーも一般的ではなかったので、
抜け毛との闘いに使える武器はピンブラシだけ。
お風呂は大嫌いなくせにブラッシングは大好きだったJは、とかすのをやめると
「は? やめていいって言ってないけど?」という顔をしたっけ。
あるオーナーさんは、柴犬を家族に迎える際、
ラグとソファカバーを、あえて黒にした。犬の抜け毛が目立てば掃除がしやすいと
思ったからだそうだ。
そして数カ月後。ラグとソファカバーは薄いベージュに変更された。
室内から柴犬の抜け毛をなくすなんて無理! と気づき、
「見えなければないのと同じ」と考え方を切りかえたらしい。
とても賢い方法だと思う。
抜け毛のほとんどは、フワフワしたアンダーコートだ。
柴犬独特のパーンと張ったフワモコ感は、大量のアンダーコートがあってこそ。
アンダーコートは柴犬のかわいらしさの源泉であり、
寒さや雨から身を守ってくれるありがたいものなのだ。
掃除がたいへんだからと厄介者扱いしてはいけない。
むしろ役目を終えて抜け落ちた毛をねぎらうべきなのだ。
春と秋には、アンダーコートに感謝し、次の季節に向けて新しい毛の成長を願う
「換毛期祭り」を開催してもよいのではないか。
柴犬には縁がないけれど、春の換毛期が終わった頃から
「サマーカット」に変身する長毛犬が増えてくる。
「ショートカットのほうが涼しいでしょ♥」という、飼い主さんの親心だ。
でも実は、犬の体感温度を左右するのは、
体の表面を覆うオーバーコートの長さではなくアンダーコートの量らしい。
暑さ対策としてもっとも有効なのは、毎日のていねいなブラッシングでアンダーコートを取り除くこと。それさえできていれば、ロングヘアのまま夏を越しても犬の体への負担が増えることはないのだそうだ。
でもなあ。そうは言っても、私はサマーカット推奨派だ。
だって夏の楽しみのひとつが、「柴犬カット」にしたポメラニアンが増えることだから。
プードルもシー・ズーも、ロングヘアのまま夏を越してくれていい。
でもポメラニアンの皆さんには、夏の間、柴犬に変身してほしい。
なんなら、春と秋と冬も柴犬として過ごしてくれてかまわない。
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