江戸時代、番町に「幽霊屋敷」として知られる
武家屋敷がありました。
そのお屋敷では、夜中になると毎晩、
庭の井戸から女性の声が聞こえます。
「1枚、2枚……9枚、ああ、1枚足りな~い!」
声の主は、家宝のお皿を割ってしまったことを責められ、井戸に飛び込んで自害したお菊さん。
主への恨みが強いため、成仏できずにさまよっているのだと言われていました。
写真提供/飼い主さん
そんなある日、町に柴犬の僧侶がやってきました。
お菊さんの話を聞くと、「私が成仏させましょう」とひと言。
そして、夜になるのを待ってお屋敷へ向かったのです。
真夜中になると、井戸の底からか細い声が聞こえてきました。
「1枚、2枚……」
いつものように9枚まで数えたときです。
大きな木の陰から僧侶が飛び出してきて、力強く叫びました。
「10枚! 見なさい、お菊さん。私が10枚めの皿です。
安心して成仏しなさい」
あたりが静まり返った後、井戸の底から爆笑が聞こえてきました。
「何コレ、ヤバい、かわいすぎるんだけど。
明日も見たいから、また出てこようっと。
ちょっとそこのかわいい柴犬。
これからも毎日、ちゃんとここにいなさいよ。
もしいなかったら、日本中の人に祟ってやるからね」
人々を祟りから守るのは、僧侶の役目。
柴犬の僧侶は、それ以来毎晩、お皿の仮装をしてお屋敷を訪ね続けています。
そう、今夜もきっと……。
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こんなのもあるんですね。
\ 柴飼いさんのリアルがわかる /
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